『つらくない!ロングトーン練習 - 音楽的かつ無理なく吹けるトレーニング・ブック』発売中!
これまでになかったロングトーンの教則本が生まれました!!





『つらくない!ロングトーン練習 -音楽的かつ無理なく吹けるトレーニング・ブック』
(ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス)
トランペット、トロンボーン、ユーフォニアム、チューバ版 44ページ / ホルン版 48ページ
※トランペット以外の楽器については、各楽器の一線の国内プロ奏者の方々に原稿チェックのご協力をいただいており、各楽器に適した内容になっています。
・ホルン:丸山勉先生
・トロンボーン:山口隼士先生
・ユーフォニアム:深石宗太郎先生
・チューバ:渡辺功先生
1,980円(税込)
【目次】
■ロングトーン練習のコンセプト(解説)
■技術的ポイント(解説)
■練習の仕方と注意点(解説)
■ロングトーン練習
♪「音のセンター」を見つける
♪ロングトーン 息→音
♪ロングトーン ブレスアタックと発音
♪ロングトーン 半音のスラー
♪ロングトーン 単音
♪ロングトーン インターバル
♪ロングトーン 高音域
♪ロングトーン 低音域
♪ロングトーン 広域
♪ロングトーン ベンディング
♪ロングトーン pp (最小の音量でのロングトーン)
♪ロングトーン Cichowicz + Stamp
■ヴォカリーズ(解説)
■ヴォカリーズ練習
♪ヴォカリーズ ベーシック
♪ヴォカリーズ インターバル
♪ヴォカリーズ アルペジオ
♪ヴォカリーズ やや長め
♪ヴォカリーズ 旋律的
♪ヴォカリーズ 現代的
■この教則本に込められた思い
「ただ機械的に音を伸ばすだけの練習」「どれだけ長く伸ばせるか競争」「無理な吹き方を助長する練習」「音そのものの質や響きの美しさよりもピッチを合わせることが優先」、…このようなロングトーンの練習はもうやめよう!というのがこの教則本の主たるテーマです。
「良い音作りのためのロングトーン」「機械的に伸ばすだけの練習ではなく音楽的な演奏につながる練習としてのロングトーン」を、ということからお話をいただき、制作が始まったのがこの教則本です。
(「音楽的」というのが何を指すのか、という問いはここでは置いておきます。ここでは常識的にイメージできる広い意味合いで捉えてください。)
■この教則本の特徴
・音楽的に、かつ、無理なく取り組む(「基礎練習」と「演奏」は同じことの延長)
どの練習メニューも、「音楽的に演奏」することと、「良い音・良い音の出し方」を追求することが大原則になっています。機械的に音を伸ばすこととは取り組み方が異なり、それは「基礎練習」と「(音楽的)演奏」が繋がっていることを意味します。
・初心者からかなりの上級者(プロ奏者)まで、一生使える内容
ほぼ全ての練習は、中音域からスタートし、徐々に音域を拡張していきます。まだ音域の限られた初心者からお使いいただけるものになっています。
そして同時に、ごくシンプルなものをいかに美しく演奏できるかということも重要なポイントとしており、上級者にとってはより深く掘り下げていくことのできる内容でもあります。一生取り組み続ける練習内容です。また、音域的にもかなり広い範囲をカバーしており、技術的に難易度の高いものも含まれています。それらは紛れもなく上級者が高度な技術レベルの演奏を遂行するに必要な練習です。
・豊富な解説
冒頭では6ページを使って、豊富な解説文を掲載しています。この部分は、この教則本に取り組むにあたって前提となる重要な部分です。
また、各練習パターンの楽譜には、簡潔にポイントが書かれています。
・様々な練習パターン
一口にロングトーンと言っても、様々な練習パターンがあります。
発音そのものの向上のための練習、半音やインターバルのスラー、様々なダイナミクス変化を伴う単音、音域に特化したもの、数種類のベンディング、ppなど、実に多様なパターンが収録されています。
トランペットの著名な教則本で言えば、シュロスバーグ、カルーソー、ドクシツェル、チコヴィッツ、スタンプ、アーバン、ヴィズッティ、等のエッセンスが詰め込まれています。
・ヴォカリーズ
ロングトーンの延長として、シンプルなヴォカリーズを加えています。より実践的音楽的ラインに近づき、コンコーネやボルドーニ等のリリカルなエチュードへの橋渡しとして機能するような内容になっています。
■筆者として
この教則本の執筆依頼をいただいた時、私は「まさかこんな依頼がいただけるとは…」と思いました。それは、教則本を書くことができるという喜びもさることながら、それ以上に、その内容と主旨についての感激でした。
「音楽的に吹くことを主眼としたロングトーンの教則本を制作したい」、こんな依頼をいただけることがあろうとは想像もしていませんでした。これまでの基礎の教則本と言えば、機械的に「基礎を固める」という類のものがある種の常識であり、しかし今回はその常識を破る試みであり、そして同時に私自身も常々そういうものが必要だと考えていたのでした。
特にロングトーンというものは、代表的な基礎練習のひとつでありながら、前述のように、その取り組まれ方は機械的なものに終始してしまうことが多く、さらには、「無理な吹き方になりやすいからやらない方が良い」という考え方さえあったりします。このようなことから脱却でき、実際の音楽的演奏と無理のない奏法に直結するロングトーンの練習を提案することができたら、この教則本の存在意義は果たされることになります。
初心者からプロ奏者までどのレベルの奏者にも有効なものになるように、幅広い音域や難度のものを盛り込んでいます。学校の部活での練習、初心者から熟練者までのアマチュアの方々、音大生やプロ奏者までの全ての人にとって、一生取り組み続けられるものとしてお役立ていただけることを心から祈っています。
ヤマハの担当のKさんをはじめ各方面の方々には、細かい作業の連続にもかかわらずいつも丁寧に対応していただき、時には私のわがままを通してくださったりと、大変お世話になりながら、この教則本は完成しました。ここに改めて深謝申し上げます。